テンカラトリップ釣行記。長野県南信地方のアマゴとイワナの名渓、遠山川へ。
人生初のアマゴを求めて遠山川へ
長野市在住、そして釣行先に北信地方、富山、新潟、岐阜と日本海側に注ぐ渓流のさらに源流域というフィールドを選ぶことが多い自分としては、実はいままでアマゴを釣ったことがなくて。
あ、豆知識として、ヤマメとアマゴは親戚みたいなものでして、違いはというと体側の朱点の有無です。朱点がないのがヤマメで主に日本海側に注ぐ河川に生息。朱点があるのがヤマメで山梨〜神奈川を流れる酒匂川以西の太平洋側に注ぐ河川に主に生息しています。
普段はほとんどイワナの生息域でのテンカラを楽しんでいるため、ヤマメを相手にすることも少ないですが、なんというか「渓流の宝石」と称される、パーマークの美しいヤマメにたまに会いたくなるんですね。そこに朱点が混じるアマゴさんとなれば憧れも一層の事。このたび所用にて南信地方に行くこととなり、こりゃチャンスでしょ、と1日予定を確保して人生初のアマゴ狙いのテンカラトリップへ。
さて、ということでターゲット河川を絞り込む。滞在予定の飯田市近辺でどこか良い渓流は、、、と脳内サーチしたところ、真っ先にヒットしたのが愛読している佐々木一男さんの著書『秘渓を巡る釣りの旅』。
上記amazonから生成したリンク、画像がなくてゴメンナサイ。19編の秘渓釣行エッセイがまとまった良著です。著者が『私は、これからの釣りをも過去に求めることにしている』と言うとおりに釣行記としては古い内容のものが多く、現在のフィールド情報の入手には適さないかもしれないけれど、それぞれの名渓といわれるフィールドにどんなストーリーがあるのかという観点から読むと釣行の奥行きと味わいが増し、まだ見ぬ流れに思いを馳せることができる名著だと思います。
そんな感じで、この本で紹介されていたのが遠山川。南アルプスの聖岳を源頭に擁し、日本のチロルと言われる山深い遠山郷を流れる渓流。こんな渓流、見逃す手はないじゃないですか。もちろんアマゴの生息域。長野市を早朝に出発、いざ遠山郷へ!
遠山川へ:山また山の深い谷を貫く流れ
長野市から3時間くらいかな、国道152号線の上村川と遠山川の合流地点を通過。入渓点は聖岳の登山口あたりと考えていたのですが上村川から遠山川源流域へと上がっていく山道がなかなかに長い。うーん、この山深さ、交通手段が今ほど整備されていない頃はまさに秘渓だったのだろうなー。折り重なる山々の間を縫って深い谷を貫く流れ、なんというか日本の山と渓流の豊かなフトコロを感じます。
と、エッチラオッチラと車を走らせ聖岳登山口近辺の駐車スペースからフィッシュオーン!
入渓点の近辺の渓相はこんな感じ。ここにたどり着くまでに良さげな支流もたくさんあったけど、せっかくなので遠山川とのファーストコンタクトはこの開けた本流筋から。気温は高く、水量も落ち着いているわりには源頭の標高が高いせいか水温は低めでコンディションは上々。流れの特に穏やかな部分を狙って毛鉤を打ち込んでいくとズンッという重めのアタリ。これ、大きいぞ!
ということで引き出したのはアマゴではなくイワナさん。体長と比べると体高が高くプリッとした体型で引きの強さはサイズ以上の感触。雄大な流れの中でおおらかに育っているこの感じ、いい。
そして手にした初アマゴ
なるほど、事前のリサーチ通りこのエリアはアマゴとイワナの混棲域っぽい。そうは言っても釣り分けができるほど自分はウデがないので、いつもと同じようなポイントに少し流速早めの流心や瀬にも打ち込むように心がけてアマゴのヒットを待つ。するとさっきと同じようにまたズンッという重めの感触。そして、アワセたあとに水面をズズズズッと走る感覚。これ、イワナの感触と違う!ようやくアマゴさんとご対面かな?
というわけで念願の人生初のアマゴ!イワナと同じく体高のある良型ですね。朱点は控えめだけれどこの美しさ、またイワナと違った魅力があります。
短い区間で違った渓相を楽しめる遠山川
これは良い日になりそう!好感触で釣りあがっていくと程なくして開けた河原が一気に左右の山並みに狭められ、大きめの岩がポイントを形成する山岳渓流の渓相に。
うん、ザ・渓流って感じでたまりません。日陰に入り涼しい中で落ち込みが形成するトロ場中心で探っていくと狙い通りにヒット!
イワナ、アマゴときて3尾目はイワナ。こいつもアワセから取り込みまで縦横無尽に淵を泳ぎ回る元気な個体でした。
そこにいるだけで満足するのも名渓の要素ですよね
なんというか、ほんとおおらかな自然の中で遊ばせてもらっている感じのテンカラ。狙った期待大のポイントから魚を引き出せなくてもその場にいるだけで満足できるというか。途中、手を止めて30分くらい流れの中の岩に座ってぼーっとしたりしてました。
さらに釣りあがってアマゴを再びゲット!朱点控えめなのは遠山川の特徴なのかな。
そしてこの日のシメはこのチビサイズのアマゴ。パーマークの不揃いな感じに愛嬌があって美しくもかわいらしい一尾。朱点もポツンポツンとついているだけで今後の成長に期待ですな。魚体に触れずにノータッチリリース。
このチビアマゴを釣り上げたところですっかり満足して退渓。川沿いに登山道も通っていて帰りも安心。駐車スペースまでの帰り道はのんびりと林道歩きを楽しみました。本年初のひぐらしの鳴き声も聴けたし、山深い渓流にはやっぱり夏が似つかわしい。渓泊で支流探索なんかも面白そう。アクセスは正直に言って容易ではないけれど、再訪したいなと素直に思える素敵な渓流でした。
それではみなさま、素敵なテンカラライフを!