さて、いよいよテンカラのキャスティングについて紹介していきます。押忍。
キャッチコピーは「しなって、三角、たるませる。」
キャステイングの「方法」ではなく「目的」を考えてみよう
いろんなところでいろんなテンカラキャスティング(伝統的には「振り込み」という言い方もするみたいですが、この記事では「キャスティング」で統一しますね)のやり方が紹介されていますが、正直「なんかよくわからない、、、」とか、動画を見ても「形としてはわかるけれど、何に気をつけるのかがわからない、、、」みたいに感じる人も多いんじゃないかなーと。
ですので、自分は「方法」からではなく「目的」からテンカラのキャスティングに迫っていこうと思います。「方法」ではなく「目的」からのアプローチね(大事なことだから2回言ってみた)。
まあまあ独自の理論という感じになるのですが、このやり方で間違いなく釣れると思います。
始めたての人はそのくらいの感覚のほうがオススメ。
事実、このスタイルで自分もしっかり釣れているので。
そして、テンカラのキャスティングは決して難しくありません。不器用な自分でも、初めての時に10分くらい手ほどきを受けただけでとりあえずは毛鉤を打ち込めるようになりました。
ある程度できるようになってからいろいろこだわればいいわけで、まずはキャスティングに対する心のハードルをぐぐぐっと下げていきましょう。
キャスティングの前提ポイント:キャスティングの目的は「魚を釣る」ために「狙ったポイントに毛鉤を打ち込む」こと
それではテンカラのキャスティングの目的ってなんでしょうか?
当たり前だけど「魚を釣る」ことですよね。
これ、当たり前だけどすごく大事です。
では最大の目的である「魚を釣る」ためにキャスティングでやらなければならないことは。
「狙ったポイントに毛鉤を打ち込む」ということになります。
「魚を釣る」ために「狙ったポイントに毛鉤を打ち込む」。
これがキャスティングです。
キャスティングの解説でよくあるのが、
「竿を12時に方向に立てて10時の角度で止める」とか、
「手首は固定する」とか、
「人差し指は竿に添える」とか。
上記は確かに大切なポイントではありますが、
それはあくまで「方法」であって「目的」ではありません。
これすごく大事。
「12時の方向にバックキャスト、10時の角度に振り込む」ことを決して目的とは捉えないでください。
自分にテンカラの手ほどきをしてくれた方は教え方が上手な方でそんなことはなかったのですが、「竿が寝過ぎてる!」とか「振り込みが遅い!」とか、無駄に厳しい人もいるわけで。
声を大にして言いたい。
そんなのどうでもいい。
極論、「魚を釣る」ために「狙ったところに毛鉤を打ち込む」、これさえできればやり方はなんでもいい。別に12時〜10時の振り込みをしなくても、オリジナルで「円月殺法、臨兵闘者皆陣列在前!うなれ俺の竿!」って言ってブンブン振り回してキャスティングしても、狙ったところに毛鉤が打ち込めればそれでオーケー。まずはそのことを頭に入れておけば、ずいぶん肩の荷が降りるんじゃないでしょうか。大丈夫、テンカラは難しくないし、かみついたりもしません。笑
さて、やったことない人でもできるような気がしてきたでしょ?
上記のキャスティングの「目的」とあわせて、もう一つ頭に入れておけば準備としては万端。
では、その「もう一つ」とは?
「竿=ロッドの目的」です。これもキャスティングの目的と同様に大事なんです。
色々な役割を担うロッドですが、ことキャスティングにおいての竿の目的は「しなってラインを飛ばす」こと。これをしっかり頭に入れましょう。
と言っても、あくまで大目的は「魚を釣る」こと。別にロッドをしならせなくても釣れればそれでオーケー。
でも、ロッドという道具には「目的」が付与されているわけで、それを最大限に活用したほうがロッドも喜んでくれると思います。道具の本来の使い方ではない使い方ってなんかアレじゃないですか。アレ。
キャスティングの前提ポイントまとめ
ということでここまでを軽くまとめます。目的から考えを進めていきましょう。
「魚を釣る」ために、
「狙ったポイントに毛鉤を打ち込む」のがキャスティング。
そのために「ロッドをしならせてラインを飛ばす」。
これに尽きます。これができればひとまずはキャスティングはオーケー。
そんな軽〜い気持ちでいきましょう。軽〜く。
キャスティング実践編:キャッチコピーは「しなって、三角、たるませる」!
さて、いよいよ実際の振り込みです。
練習として、ハリスをつけずにロッドとラインだけを連結させたものを用意。
まずは頭の上〜前45度〜頭の上〜前45度〜頭の上〜前45度〜と、振り上げの速さを強くしたり弱くしたりしながらロッドをアホみたいに振ってみてください。そのうち、いい感じの「しなり」が感じられるようになると思います。あくまで感覚なんだけど、ロッドに慣性というか抵抗感というか張りを感じるというか、手元と比べて竿先が少し遅れてついてくる感じです。
わかるひとはわかると思うけど、あのダイエット器具のボディブレードと同じ感じか(そんなに力はこめません)。
で、そうこうしているうちに、ラインがまっすぐにヒュン、と伸びていくことがあるかと思います。
それ!まさにそれ!
それが正解です。
あとは力加減を調整して、そのラインまっすぐヒュンを再現できるようにしましょう。
一回コツをつかんじゃえば意識する必要もないくらいカンタンです。
キャスティング分解1:「しなって」編、振り上げまで
さて、そんな感じで「しならせて飛ばす」感覚がわかってきたらいよいよ実践シミュレーションに入りましょう。
下記の図の通りです。
ロッドのしなりを意識しながら、頭の真上までロッドを振り上げる。
最初は力が入ってしまうと思いますが、慣れてきたらどんどん力を抜いて、最終的には最小限の力と速さでやるとグッド。力が入ってるとロッドからライン、ハリスを経て毛鉤へとその力が伝わり、着水が荒くなって魚が逃げてしまうかもしれません。あくまでフンワリ、が理想なんです。
手首固定とか頭の後ろにロッドを倒したらダメとか、そういうのは意識しないでオーケー。釣れればいいんですから。
キャスティング分解2:これで完成!「三角、たるませる」編、前振りから毛鉤着水まで。
図の通り、振り上げたロッドのしなりを感じ、糸が後ろに伸びきったんじゃねこれ、くらいのタイミングでロッドを前45度(よく10時の方向って言われるやつね、わかりにくいので45度としちゃいます)に戻します。
前に振るというよりは元の位置にシュンって戻す感覚に近い。
うまくいけば、ラインがまっすぐに前に伸びていきます。
まずはそれを再現できるように繰り返しましょう。
だいたい10分もロッドを振っていればマスターできるはず。
慣れてきたら力加減の調整。できる限りミニマルな力加減でラインを飛ばせるようにしましょう。
疲れちゃうし。
さらに慣れてきたら、まっすぐに飛ばしたラインとロッドでつくられる三角形を意識。振り込んだ後にロッドをほんの少し倒し、ラインにたるみを作ります。
このたるみがポイント。ラインがピンと張っている状態だとラインの抵抗がそのまま毛鉤に伝わり(ドラッグがかかると言います)、毛鉤が不自然な動きになって自然に流れません。軽くラインをたるませて、毛鉤が自然に流れるように意識しましょう。
で、ビギナーとして気になるところは、「毛鉤を流すのはわかるんだけど、ラインってどこまで水に浸かっていいの?」というところだと思います。セオリーとしては「毛鉤から着水、水に浸かるのは毛鉤とハリスまで」というところです。メインラインと比べてハリスは細いぶん、水面への抵抗も小さいのでこんなふうに言われています。まずはフワリと毛鉤から着水、ロッドをコントロールしてメインラインが水につかないようにトレーニングするのがいいかと。もちろん、ラインが水に浸かったら絶対に釣れないというわけではないのでご安心を。
さて、上記でキャスティングは完成!
なんとなく狙った場所にラインの先っぽが飛んでいくようになればビギナーとしては上々です。
あとはのべつまくなしに渓流で毛鉤を打ち込みまくればいつかは釣れます。
ということで、キャスティングの紹介編でした。
まずはとにかく難しく考えず、軽い気持ちでロッドをヒュンヒュン振ってればそのうちサマになってきます。
そのくらいのゆる〜い気持ちで大丈夫。
繰り返しになるけど、自分はそんな感じで釣れてますから。
ポイントは、「魚を釣る」ために「狙ったポイントに毛鉤を打ち込む」のがキャスティング。「ロッドのしなりを利用」して、振り込みの際には「しなって、三角、たるませる」。
これがわかれば渓流デビュー、問題なくオッケーです。
お経のように唱えましょう。
しなって、三角、たるませる。
しなって、三角、たるませる!
さて、具体的な渓流でのキャスティングの打ち込みポイントと毛鉤の流し方についてはこちらをチェキラー。
さあさあ、もう待望の一匹は間近ですよ!!
このページはテンカラ初心者向け入門講座の3−1です。
次の節:3-2:毛鉤を打ち込む渓流のポイントと流し方:テンカラキャスティング実践
前の節:2-3:片結びだけでチチワもオーケー!初心者のためのテンカラのライン(糸)の簡単な結び方
入門記事もくじはコチラ:初心者のためのテンカラ渓流釣り入門記事まとめ