久しぶりにロッドを新調しました。Jointer(ジョインター)というブランドのSprout(スプラウト)というモデルです。そのファーストインプレッション的な記事。
デザインコンシャスなテンカラロッドがついに国内ブランドで登場。
まずはこのJointerというブランドについて。アウトドア好きならまず知っているであろうWILD-1というアウトドアショップが新たに立ち上げたブランドです。公式WEBサイトは下記リンクより。
公式サイトを見て「お?なんか他の釣具メーカーと違うぞ??」と思ったアナタ。完全にミートゥー、ワタクシもそう思いました。Jointerさん、『+FISHING』『つながろう、新しい「釣り」の世界へ。』というコンセプトを掲げており、釣りにプラスアルファでアウトドアアクティビティのエッセンスを加えているというのが国内の釣具メーカーさんの立ち位置とちょっと違っていて。
昨今のアウトドアのギア(=道具)ですが、音楽フェスや山ガールブームやUL(ウルトラライト)ブームなどなどのムーブメントの隆盛もあり、質実剛健な「道具」でありながらもそのデザイン性がかなり洗練されてきていて。モンベルさんあたりも特に最近のデザイン、すごく今っぽくてスタイリッシュになってきましたよね。
で、そういうデザインの研鑽ってやっぱり海外のブランドが先んじていて、テンカラについても逆輸入のような形でデザインコンシャスなロッドが海外ブランドで多くリリースされています。有名なのはパタゴニアさんかな。パタゴニアさんは「シンプルフライフィッシング」と銘打ってテンカラの概念の再構築を図っています。私見ですがこれでだいぶテンカラのイメージがスタイリッシュなものに変わったというか、アウトドアアクティビティの一環として評価されてテンカラの裾野がだいぶ広がったのではと感じています。
パタゴニアの他にもCauswell、Tenkara Rod Coあたりがデザイン面でもスタイリッシュなテンカラロッドをリリースしていて、国内のブランドでも同じようにシュッとしたデザインのテンカラロッドがリリースされないかなーと人知れず心待ちにしていました。
で、そこでJointerの登場。ネットで一目見て、これ買う、絶対買う、と速攻で注文しました。冒頭の画像がもちろんその購入したJointerのSproutというロッドなのですが、一目瞭然ですよね。このカラーリング。「釣れればいい」ってところではなく、デザイン面にもしっかりを意識を振った感じのプロダクト。こういうスタンスでのテンカラロッドを心待ちにしていた人も多いんじゃないでしょうか。
こういうロゴ周りの感じとかたまらないですよね。
で、デザインコンシャスなロッドということで次に来る考えが「でも、お高いんでしょう?」というところ。んでここがやったぜWILD-1さんってところなんですが、このSproutは税抜定価6,500円。この価格でこのデザイン性だったらそりゃ買いでしょう!
実際に手にしたところ、ロゴ周りやコルクのグリップ部分も安っぽくないし、ロッド本体の部分の質感も悪くない。カラーリングも素晴らしく、ロッド本体のマットな仕上げは好みが別れるかもですが、自分としては非常に好印象でした。
「シンプルロッド」と謳いながらもコアな源流派にも刺さるスペック。
で、見た目の話ばっかじゃなくてスペックや釣り竿としての機能はどうなのよ、ということになりますがまずこのSproutというモデル、公式サイトのカテゴリでは「Simple Rod」ということで女性、子供も含めた幅広い層をターゲットにしたロッドという扱いです。長さは2.7m、仕舞寸法が33cm、継ぎ数が10本。テンカラだけではなく他の釣りにも対応しているロッドのようですが、上記スペック、どう見ても源流のサブロッドとして最適じゃないですか?長さはもちろんですが、仕舞寸法の33cmというのは源流トレッキング系テンカラ好事家にはたまらないスペック。
ちなみにテンカラロッドということではTenkara Fly 33というモデルもリリースしていますが、自分がすでに3.3mのロッドを持っていてそれより短いロッドが欲しかった(フライとテンカラの中間くらいのロッドでラインシステムはフライに寄せた感じのテンカラがしたくって)のでSproutをチョイスしました。あとロッドにライン(フック)キーパーが付いているのがデザイン的にどうも好みではなくて、、、すみません。でもこのSprout、上の画像のようにロッド先端のキャップが優秀で、リリアンにラインをつけたまま、ラインをロッド先端とエンドにぐりぐりぐりっと巻きつけてからキャップで固定。毛鉤をグリップのコルクに差し込めばラインを収納できます。これ何気に便利。グリップのエンドにマイナスネジみたいに溝を彫り込んでくれたらラインキーパーいらないんじゃないか、、、まあDIYで加工すればいいのですが。いずれやってみようそうしよう。あ、ちなみにネオプレン素材のソフトケースも付属しています。やったね。
ということで早速我が家にやってきたSprout、ラインをつけて振ってみましたがなかなか調子が良い。継数の関係もあってか一般的なテンカラ竿よりはちょっと硬めの振り味。調子も先調子ですが、これ、個人的には自分のスタイルに非常に合っているなと思っていまして。
こぼれ話:先調子とか胴調子とか
で、「先調子」「胴調子」というテンカラ竿の曲がりの特性のお話。ちょっと経験者向きかもなのでなんかよくわからんという方はへーそうなんだ、と鼻くそでもほじりながら読んでください笑。経験者ぶって書いてみましょう。ええ、ワタクシもズッブズブのビギナーですが、経験したことから。
「先調子」というのはロッドがしなる際、主に先っぽが曲がる特性のことを言います。そして「胴調子」はロッド全体がしなる特性のことですね。ロッドそのものの硬さにもよりますが、胴調子の方がロッド全体の反発をしなやかに使うことができます。じゃあ胴調子のほうがいいじゃん、って話になりそうですが、先調子の場合は先っぽの方にしなりのピークがあるため、竿全体のアクションの幅が小さくなります。すなわち運動の起動が小さいため、打ち込みの際のブレも小さい。というわけで、先調子のロッドは「狙ったところに毛鉤を打ち込みやすい」「ロッドのアクションが小さい」「しなり幅が小さい分手元に伝わる反動も小さい」という利点があると個人的には感じています。なんていうかマニアックかつ個人の感想でごめんなさい。
で、あくまでワタクシの場合ですが、ロッドのアクションは最小限でラインの自重(最近はテーパーラインを使っています)で毛鉤を飛ばすというのが性に合っているようで、狙ったポイントに最小のアクションと最小のインターバルでテンポよく打ち込んでいくのが理想的だと思っているため先調子のほうが向いているなと。あと非常に感覚的な話で恐縮なのですが、フォワードキャストで毛鉤を飛ばした後にロッドにしなりのパワーが残っていてそのパワーをロッドアクションで逃がすみたいなキャスティングのクセが自分にはあるため、胴調子で運動の軌道が大きいとそのカバーリングのアクションが大きくなって着水した毛鉤にドラグがかかりやすい、、みたいな感じもあったりします。いわゆるテーパーラインでの「オツリ」の感覚で「ロッドのオツリ」もあるというか、、、極めて個人的な傾向性ですが。
逆にレベルラインの場合は胴調子の方がロッドの反発が効きやすくていいんじゃないかと思います。完全な私見ですが。。。
ということでこのSproutというロッド、取り回しやすい長さもあり、先調子の利点を生かしてしなやかなテーパーラインを繊細に操り、点在する渓流・源流域のポイントを次々と探っていくというスタイルには非常にいいんじゃないでしょうか。Jointerさんではテンカラ用のラインも取り扱っており、自分は3.3mのラインを購入して組み合わせて振ってみましたが非常に調子が良かったです。
まとめ。テンカラは「釣法」から「スタイル」へ、、となっていったらいいなと思ったりなんなりでSproutはすばらしいっていうお話。
ということでコンパクトでリーズナブル、さらにデザインもフィールグッドということで女性、子供だけではなく万人にオススメできるロッドなんじゃないでしょうか。上記のロッドの特性も正直「こういう特性だから扱いにくい、オススメできない、ダメ」というものでは決して断じて心の底からなんなら腸の一番奥から一切なく、特性を自分のものにして活かしていけばいいというただそれだけの話ですから。道具ってそういうものだしね。うん。
というか何よりほんとこのデザインなんですよ!野暮ったくなく、スタイリッシュなアウトドアアクティビティとしてのテンカラの再定義。そんな風にいうとちょっと褒めすぎかもですが、ただの釣法のひとつというだけでなく、「テンカラというスタイル」という価値観の芽生えとして今後が本当に楽しみです。フライフィッシングの優雅さみたいな感じで、シンプルなテンカラが「ULトレッキング」「ミニマリスト」「無印良品」「シンプルライフ」みたいな感じで洗練されたカルチャーになっていくのも面白いなーと。Jointerさんがんばれ。超がんばれ。なんならワタクシもブログとフィールドレビューで助力するのでギアサポートしてください(懇願)。
で、実釣!調子良いです!!!!
で、例によってロッドのレビューはつまるところ「釣れるの?」ってところに尽きますよね。上記画像が証拠写真です。笑
キャスティングの感触としては、前述のちょっと硬めの竿調子ということもあり、やっぱりレベルラインよりもテーパライン、ちょっと重めのラインのほうが相性が良さそうだと感じました。自分は同じくjointerさんの3.3mのテーパーラインを使って1mちょっとくらいのハリスをつける仕掛けにしてます。で、ロッドの短さも相まって、なんというか「素早くソツなく自由自在にラインを操る」といったフットワークの軽さを感じるので非常にキャスティングはしやすいと個人的には感じました。テンカラを入り口にフライフィッシングにも挑戦してみたい人にもちょうどいいのかも。
アタリからフッキング、取り込みの感触としてはパチンと合わせた時の力の乗り方が気持ち良い。毛鉤を沈めた時のアタリも取りやすく、安定感のある挙動があるかなと。小規模の渓流、源流をテンポよく、しなやかに釣り上がっていくスタイルにはとても良い相棒になるんじゃないかなと。自分の場合、源流ではメインロッドに近い位置で活躍してくれています。
それではみなさま、素敵なテンカラライフを!